砂川恵理歌 オフィシャルウェブサイト

2010.7.16 (金) №163
長崎県 聖フランシスコ病院(個室)

この日は、長崎の聖フランシスコ病院の個室でのライブでした。
この部屋には稲田八千代さんという48歳の女性が末期のがんで入院していらっしゃいました。
稲田さんは長崎で生まれ育ち、元看護師さんでいらっしゃいます。
稲田さんが入院されてからは、看護師時代の同僚・江里口さんが、献身的に身の周りのお世話を していらっしゃるということでした。
そしてその江里口さんが彼女に是非この歌を歌ってほしいとのことで今回の訪問につながりました。

お部屋には、稲田さん、江里口さん、元同僚の方などが集まっていました。
稲田さんのがんは進行しており、お話はできない状態でした。
ただ、「うん」「いいえ」のジェスチャーで意思疎通ができました。

昔の話を皆さんから聞き、写真を見せていただきました。
笑顔が溢れる病室だった。この日を楽しみにしてくださっていたことが伝わってきました。

江里口さんは、この日を映像に残そうと、ずっとカメラを回していました。
でも、「一粒の種」を歌うときだけは、カメラは他の人にお任せすることを私から提案し、 稲田さんと江里口さんに向かって歌わせていただきました。
歌いながら、涙を必死でこらえる江里口さん、そして、とても優しい表情できいてくれる稲田さんが 寄り添う姿を見ていました。
江里口さんが稲田さんを家族のように思う気持ちが伝わってくれたら、 ここに集まってくれた仲間の気持ちが伝わってくれたらと願いながらと願いながら歌いました。

歌い終わったあと、稲田さんとハグをしました。
稲田さんは満面の笑顔を見せてくれました。

「本当に今日は来てくれてありがとう!」
涙を流しながら江里口さんにお言葉をいただきました。












訪問の後、ほどなくして稲田さんが天国に逝きましたとご報告を受けました。
御葬儀の席で、CDの「一粒の種」とこの日の映像を流してくださったそうです。

稲田さんのご冥福を心からお祈りします。
そして皆さんにとって、とても大切な時間をご一緒できた御縁に心から感謝いたします。