砂川恵理歌 オフィシャルウェブサイト

2010.3.31 (水) №147
沖縄県 アドベンチストメディカルセンター

この日は沖縄県内にある病院、アドベンチストメディカルセンターのホスピス病棟を訪問しました。
ホスピスとは、主にがんなどで治癒困難となった方たちが、最期までその方らしく生きることを 援助する医療を行うところです。

この日の訪問は、ここに入院していた、ある男性からのお誘いがきっかけでした。
訪問1か月前の2月27日、私はショッピングセンターで行われたラジオの公開生放送に出演しミニライブをしました。
その男性はボランティアの方に付き添われて一緒に車いすに乗ってステージを見に来てくれました。
ライブの後、声をかけてくださり、写真を一緒に撮り、握手をしました。そして、付き添いの方から病院へ 歌いに来てほしい、と書かれたお手紙をいただきました。


病院に到着すると、スタッフの金城さんが、私に丁寧に気を遣いながらある事実を話してくれました。
あの男性が3月27日の早い時間に亡くなったこと。
彼は私と撮った写真を大きく引き伸ばして壁に掛け、うれしそうに何度も 「生の歌はやっぱり違う。見に行ってよかった!」と話していたこと。
彼は生涯独身だったこと。
「自分がもっと若ければ結婚したかった」と写真をみては、2人のお姉さんに話していたこと。
病室のベットでいつもいつも「一粒の種」を聞きながら、窓からみえる外の景色を見ていたこと。
私の歌を一度生で聞けたことにとても満足していて、 もしかしたら私の訪問が、彼の命の終わりに間に合わないかもしれないことも予想していたようだったこと。
何よりこの病棟で一緒にいるほかの患者さんにも生で「一粒の種を聞いてほしい」とずっと言っていたこと。 それが彼の願いだったと。 
この日を楽しみにぎりぎりまで頑張っていたが、最後にもう楽になりたいと自分の意思で決められ、 最後の最後はやすらかな笑顔を見せたこと。
亡くなる最後の最後に「一粒の種」を口ずさんでいたこと。


お話を聞いた後、男性がいた個室を案内してもらいました。
金城さんは、「ここに写真が大きく張ってあって、この景色を見てらっしゃいました」と話してくれました。
たまらない気持ちになり、涙をこらえられなくなりました。

ライブの時間になると、男性のお姉さん2人も、男性の生前の写真を持って会場にお見えになりました。
ホスピス病棟の多目的フロアーに、患者さん、ご家族、スタッフの皆さん50人ほどがお集まりくださいました。
楽しい時間を共にするのが男性の願いだったから、と気持ちを切り替え、皆さんと一緒に歌ったりして大いに盛り上がりました。
最後に、今日ここへ訪問させていただいたきっかけのお話(男性のこと)を話し、「一粒の種」を歌いました。
泣いてる方が沢山いました。
私もまた泣きそうになりましたが、男性の気持ちのためにも、しっかり歌いたいと思い、心をこめて歌いました。

帰り際には沢山の「ありがとう」という言葉と笑顔を頂きました。

「一期一会」という言葉の意味を、深く感じた一日でした。

















では、また次のsmile seed projectで。